妻の家事・育児のこだわりについては、まず受け止めよう
妻:「ちょっと・・・お願いがあるんだけど」
妻さんの切り出す調子は、妊娠したか離婚を切り出すか、実は明日地球が破滅する機密情報を知っている、くらいの深刻さがある。私は毎回驚愕する。聞くのが怖い、身構える。
妻:「ねえ、ゴミを捨てて欲しいの。一導線以内で。」
夫:「な・ん・だ・と!(心の叫び)」
妻さんが何を言っているのか、説明しよう。いま私はチョコパイ(とんでもなくうまい)を食べていた。食べ終わった空の袋をテーブルに置いていた。そして、それは置きっ放しになっていた。どこかに移動する前に、それを捨ててくれ、妻さんは言っている。部屋のどこかから戻ってきて、テーブルの前に座った時、つまり2動線目に入った時には、そこにゴミがあってはならないという。
言いたいことは理解した。そして、この問いに対して、NOという答えなど存在しないこともわかっていた。だけど、私は粘ってみようと思った。
夫:「質問です。2導線目で捨てるのではダメなのですか?」
妻:「(首を横にふって)往往にして、人は忘れるの」
詩人のように語る妻さんを目の前にした。むう。ゴミファースト問題だ。
夫:「わかった、OK。ゴミファーストにしよう。その場合、脱いだ靴下放置しているの片付けるセカンドになるけど、それはいいのでしょうか?」
何を言っているのだ俺は。なだぎ武のように、アメリカナイズに気丈に振る舞う夫。妻さんの提案は、正しい。間違っていない。俺が悪だとわかっている。ゴミが置きっぱなしで生まれるメリットなど、想像がつかない。
さらっと書いたが、正しさとはなんだろうか?
正しさを受容した瞬間、怠惰な夫=悪は死ぬ。血を流す痛みを伴う変革なのだ。仮にその怠惰な時間ーゴミのことなど考えずに放置していられるようなリラックス状態がーストレスから私を解放し、さらなる高みへと繋がる一縷の希望はないのだろうか?
夫:「ほら、だからソファでのこの怠惰な時間が生み出すリラックスが俺を日常から解放し、そしてクリエイティビティがー」
妻:「ゴミも脱いだ靴下もファーストにしてください。」
夫:「Yes」
はい、その通りでございます。私はその日から意識を変えてゴミファーストになった。
ただ、何かをファーストにした瞬間、セカンドに順位を落としたり下手したら抹殺される何か、がある。家事や育児における正しさ、それは時にして理屈ではない強制力を発動することは大きい。これは当たり前でしょ、という言葉や態度のリスクがあるのだと感じた。てか今回は、俺がゴミ捨てろって悪が圧倒的に強すぎて参考にならないんですが、もっと微妙なラインの話がきっかけで揉め事になりそうですよね。相手に変革を促す場合は、それ相応の心遣いが必要。
※基本的に、専業主婦の家庭の場合のエピソードです
※妻<お父さん で家事レベルが高い場合は別
※だけど大抵の夫婦問題に有効な気がしますがどうでしょう。主語でかいからむずいです
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余談なんですが、今、現代のリアルなお父さんの家事育児事情ってどうなのだろう?と調べていて思うんだけど、インターネッツでバズる記事って、
妻:私がこんなに家事育児大変なのに旦那がクソすぎる
夫:俺はイクメンだけど、まだお前ら(=父親たち)はそんなこともやってなくて消耗しているの?
ばっかりな気がするんですよ。なんか攻撃性が強い記事ばっかり見つかる(はてブで見てるバイアスなのかな?)いいバランスで夫婦関係やっている人の記事ってすごく参考になることにもなるな〜と思って見てたんですが、まあそういう記事って大抵アットホームなブログでハッピーな話題だったり、話題にはならないですよね。なんかPV至上主義意識高い系ワードプレスパパ、みたいなことになっちゃうのかな。読まれるためには。
こんな私が、世のお父さんたちの意識を1ミリでも動かすにはにゃどうしたら良いものなのか?やっぱ「保育園落ちた日本死ね」みたいな攻撃性がいるんですかねえ。